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2014年7月 6日 (日)

「解釈改憲」は改憲の本丸に向けた布石?

 安倍内閣が集団的自衛権の容認を閣議決定しました。マスコミは「解釈改憲」は立憲主義を崩壊させるものであるとして一斉に反撥しています。私も護憲派のひとりとして、この閣議決定に対しては非常な憤りと危機感を持っているのですが、一方で憲法改正が悲願だった筈の安倍さんが、何故こうも急いで解釈改憲という妥協案に走ったのか、その点に疑問を抱かずにはいられません。政治家としての美学だとか後世の目だとかを人一倍気にするタイプの安倍さんが、拙速で美しくない解釈改憲ということにここまでこだわる理由はいったい何か? と考えて、ひとつ思い当たることがあります。そうか、解釈改憲は改憲という本丸に向けた布石だったのかも知れないぞ。

 今回の強引な閣議決定に対しては、多くの人が憲法改正という正式な手段を経ないのは姑息なやり方だと非難しています。改憲派も護憲派も同じコトバで非難しているのです。すでに第一次安倍政権の時代に、憲法改正のための法律(国民投票法)は成立している訳ですから、あとは世論がそれを歓迎する状況になれば、時の政権が憲法改正を国民投票にかけることを妨げるものは何も無い訳です。おそらくいまこの時ほど、世論が国民投票に対して容認的になったことはかつて無かったのではないか。それもこれも安倍内閣の強引な閣議決定が、国民の目から見てあまりにも目に余るものだったからです。しかし、もしもこれが安倍さんとそのブレーンの人たちの計算ずくだったとしたら?

 内田樹さんのブログには、安倍内閣が改憲ではなく解釈改憲を選んだのは、アメリカが憲法改正を望まないという意思表示をして来たからに違いないという考えが述べられていました。でも、それはちょっと裏読みのし過ぎというか、的外れな推測に過ぎないという気がします。東アジアでの軍事費を削減したいアメリカにとって、日本の軍事的プレゼンスが増すことは、単純に歓迎すべきことだからです。その内田さん自身、最近の記事では「国民的な議論を経た憲法の条文改正」に賛同的な発言をすることが多くなっている。もしも私の仮説の方が正しかったとすれば、内田さんより安倍さんの方が一枚上手だったということになります。このまま解釈改憲の方向性をさらに推し進めれば、いつかは「国民投票で白黒決着をつけよう」というところまで行き着くに違いない。

 しかし、私はこの「国民投票で白黒決着をつけよう」という発想にこそ、全身全霊をもって反対したいのです。というのも、現在の国民投票法は、世論を誤って誘導する下手なアンケート調査と同じで、主催者(時の政権)によってどうとでも結果を左右出来るようないい加減な法律でしかないからです。このことはずっと以前の記事で書きましたから、ここでその説明を繰り返すことはしません。興味のある方は、次の記事を読んでみてください(国民投票法案に関する私見)。よくテレビの街頭インタビューなどで、あなたは憲法改正に賛成ですか反対ですかなどと訊いている場面を見かけますが、自民党が考えている国民投票というのは、そのレベルの薄っぺらなものでしかありません。そもそもそのような粗雑なロジックの持ち主に、憲法改正の主導権など与えてはならないのです。

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コメント

その布石案は私も考えました。
でも、どうかな? です。
安倍晋三に政治的美学があったとしたならば、ムードを醸して改正に持っていく、
程、姑息な真似はしないでしょう。

国民の情動はもう少しまともです。
集団的自衛権が集団的安全保障に変節するのを見過ごすとは思えない。

今、集団的自衛権を是と言ってる者は近隣諸国との関係だけを見てますが、
現実には、その発動は中東・アフリカ辺りで起こると考えます。
その時には彼らも「なんか変だ」に変わるでしょう。

本丸は、警察呼びたい(ww)と同じ流れを作りたい、
安倍の本意は「憲法改正」にあるのでは無く、
「隊」ではない、内外共に認める「軍」を作る事。
アメリカと双務的・片務的協力とかは時の情勢で決まる位の考えで、本来眼中に無い。

「軍」を持つ事こそが彼の本意なのじゃありませんか。

政府解釈によって海外派兵は可能になりました。
多国籍軍と共に行動する際の呼称が「自衛隊」ではおかしいと揉めるでしょう。
「自衛隊」⇒「日本防衛隊」⇒「日本防衛軍」⇒「日本国防軍」
と誤魔化し続けて、後の内閣と国民に既成事実を押しつける。

安倍がなぜ「軍」を作りたいのか、
「日本(人)のアイデンティティになるから」
としか、思い当たりません。

その理由としては、
「日本の若者も血を流さずしてイコールパートナーとなれるか」
にズバリ有るとおもいます。

「イコールパートナー」=一人前=独り立ち
自らの血を流して痛みを知ってこそ自分を知る、とでも言いたいのかな。

マスメディアもおそらく彼の狙いは分かってるはずです。
でも彼の言葉の後ろに軍需産業つう美味しい世界が控えてるから言わない。


危ない国粋主義者担いだね、日本国民。

投稿: ロシナンテ | 2014年7月 9日 (水) 01時28分

安倍さんがそこまでの深慮遠謀を持った策士かと言えば、やっぱりちょっと無理があるかも知れませんね。でも、陰謀説というのは、証明が出来ない代わりに反証も出来ないものなので、ブログを書く時のネタとしては便利なんです。

今の政権が続けば、その先には国民投票という踏み絵しか無いように思える、今回の記事で言いたかったのはそのことだけです。結果がどちらに転んでも、国際社会のなかでの日本の立場が悪くなるという意味で、憲法改正の国民投票というのは、まさに踏み絵だと思います。

投稿: Like_an_Arrow | 2014年7月10日 (木) 23時47分

集団的自衛権に関する記事を中心に読んでみましたが、私にはまったく共感できませんでした。
共感できないとなると記事の内容も理解したくなくなるものです。
恐らく、私は時の政府に良いように踊らされる愚民と言う事なのかなと卑屈に感じたりもします。
どれがそうとはいちいち論っては行けませんが(何せ、愚かですので)独善的過ぎて、異様で、パラノイアです。
改憲派と護憲派の相互不信てヤツですかね。
護憲派からはネトウヨが滑稽に見えるように、改憲派からはブサヨが気持ち悪く見えるのです。
変に学識ぶってるのがいけ好かなったり。
その垣根を取っ払った議論をしないと、単に独善と独自視点によるセクトしかないのでは?
取り敢えず、進歩的知識人以上でも以下でもない記事に少しだけ辟易を覚えた次第です。

投稿: | 2014年8月 2日 (土) 04時47分

この問題に関しては、自分なりに「その垣根を取っ払った議論」をいつも心がけているつもりです。ですから「独善的過ぎて、異様で、パラノイア」とか言われるとがっかりしてしまいます。もしもどこかに「改憲派と護憲派の相互不信」を乗り越えるような議論を展開している論者の方がいらっしゃるなら、参考までに教えていただけると助かります。

投稿: Like_an_Arrow | 2014年8月 3日 (日) 08時57分

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