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2012年12月18日 (火)

第2次安倍政権に期待すること

 選挙が終わりました。大方の予想どおりと言うか、予想をさらに超えて自民党が単独過半数を取るという結果になりました。何故この時期に、原発再稼働・消費税増税・憲法改正といった政策を臆面もなく公約に掲げる政党に政権を渡すという選択があり得るのだろう? まったく悪い夢を見ているようです。今回は、世論に脱原発の大きなうねりがあったので、社民党や未来の党などがそれなりの議席数を確保するのではないかと思っていたのですが、まったく読みが外れました。まあ、小沢新党を母体とする未来の党が有権者の支持を集められなかったのは想定内だったとしても、そのとばっちりを一身にかぶってしまったのが社民党だったのではないかと思います。本来なら社民党を支持する層の票が、今回は脱原発というスローガンに乗せられて未来の党に流れた可能性があるからです(実を言えば、私も流されてしまった一人だったのですが…)。今回の選挙は、日本の将来の選択肢から、リベラル路線が根絶やしにされてしまったという点で、歴史に記録されるべき選挙だったのかも知れません。

 今回も小選挙区では、各政党の得票率と獲得議席率とのあいだに大きな乖離がありました。さすがにここまで毎回同じことが繰り返されると、小選挙区制そのものの欠陥を指摘する声もあちこちで聞かれるようになりました。個人的には小選挙区なんてやめてしまって、全国区での非拘束比例代表制ひとつにしてしまえばいいと考えているのですが(そうすれば1票の格差問題なども起こりませんし、政党支持率がそのまま議席数に反映されることになります)、小選挙区制は大政党に有利だという現実がある以上、そのような選挙制度改革は国会のなかからは実現しようがないのです。まったく馬鹿げた話だと思います。今回の小選挙区での投票結果を見れば、自民党が43%の得票率で79%もの議席獲得率を挙げたのに対し、民主党は22.8%の得票率でわずか9%の議席獲得率だったのだそうです。確かに民主党は得票率を下げたけれども、自民党と9倍の差がついた訳ではない。日本維新の会は得票率11.6%で議席獲得率4.7%、日本未来の党は得票率5.0%で議席獲得率0.7%、日本共産党に至っては、得票率は7.9%あったにもかかわらず議席はゼロです(本来なら定数300の7.9%で、23議席くらい獲得しても良かった筈です)。私はひとりの有権者として、今回の選挙の結果を受け入れることが出来ません。公正に実施された選挙の結果には従うべきだというのはその通りですが、そもそも選挙制度そのものが公正ではないのだから仕方がない。もしも選挙の違憲性ということを言うなら、1票の格差よりもこちらを問題にしなければならないと思います。

 第1次安倍政権の時代にも、私はこのブログでずいぶん批判的な記事を書いたものでした。あの頃よりもさらに右傾化の度合いを強めている次期政権には、何の期待も持っていないと言いたいところですが、実はひとつだけ期待していることがあります。それは安倍さんが選挙期間中から積極的な金融緩和策に言及していた点です。インフレターゲットだとかリフレ政策と呼ばれるものですね。いまでも構造改革派だとか規制緩和派と呼ばれる人たちのあいだには、リフレ政策を目の敵にしている人が多いようですが、私はこの対立は無意味なものだと思っています。「失われた30年」に突入しようかといういまの日本には、リフレ政策も規制緩和もどちらも必要なものだろうと当たり前に考えているのです。正直に言って、次期首相と目される自民党総裁の口から、日銀法の改正なんてコトバが飛び出して来るとは思ってもいなかった。これに対して野田さんは、財政規律を乱すものだなんて常套句で反論を返していました。経済通でもない二人の党首がそんな分かったふうな政策論を戦わせるのも滑稽なことですが、考えてみればここにも奇妙なねじれがあります。ばりばりの保守本道を行く安倍さんが非伝統的な(異端の)金融政策を主張して、どちらかと言えば中道路線と目されている野田さんが古くさい財政規律を持ち出すのですから。こういった重要な政策についてすら、政党の基本方針として明確に提示されておらず、単なる政争の具として利用されているだけなのです。

 それがたとえ消費税増税のための伏線だったとしても、私は第2次安倍政権による大胆なリフレ政策に期待します。つまり日銀が直接(的に)国債を引き受けて、民間銀行ではなく政府口座を通して日本円を大量発行するという政策のことです。経済評論家のなかには、これに反対する人も少なくありません。彼らは別に財政規律のことを心配している訳ではなく、大規模なリフレ政策によって制御不能な悪性インフレが引き起こされるのではないかと心配しているのです。もしも日銀法が改正されて、政府の命ずるままに日銀が国債の引き受けを行なうような仕組みになれば、ハイパーインフレが起こる可能性も否定出来ないと思います。しかし、政府と日銀が協調してインフレ目標を達成するという範囲内で日本円の発行を行なうなら、マイルドなインフレは可能な筈です。日本は20年以上もデフレ不況が続いていて、税収は増えず、政府の借金ばかりが膨らみ続けるという状況が続いています。日銀は世界中の中央銀行に先駆けてゼロ金利に踏み込んだし、積極的な為替介入だって行なって来た。もう万策尽きたと言うべきです。であるならば、最後の奥の手として積極的なリフレ政策(シニョリッジ政策と言っても同じです)に賭けてみるしかないではないか。海外のエコノミストや経済紙は、これに対して批判的な論評をしているところが多いようですが、それは欧米各国にとって日本がデフレから脱却してもらっては困るからでしょう。実を言えば、軒並み財政赤字を抱える各国の政府のなかで、この政策を実行出来るのは日本政府だけだと言ってもいいのです。何故なら日本だけが、政府の莫大な借金を、国民の高い貯蓄率で担保出来るからです。

 日銀による国債引き受けを許すかどうか、それは経済学の専門家が議論することで結論が出るような問題ではありません。むしろこれは私たち国民の「覚悟」の問題なのだと私は思っています。政府と日銀がお札を刷っても、それでこの国の富が増える訳ではない、そんなことは素人にだって分かります。リフレ政策というのは、端的に言って、膨らみすぎた政府の借金を国民が肩代わりする、一種の徳政令のことです。そのことを正しく認識した上で、それでもこの政策はいまこの国に必要なものなのだというのが以前からの私の主張です。というのも、膨らみすぎた政府の借金は、最終的には私たち国民が背負うしかないものだからです。それを将来世代へのツケとして回さないで、私たちの世代で借金の精算をしておこうというのがリフレ政策の隠された本質なのです。そういう視点でこの問題を論ずる人がいないことが不思議で仕方ない。だから私は安倍政権による金融緩和政策には賛成するのですが、それを積極的な財政支出と組み合わせた景気刺激策(国土強靭化計画とか言うんでしたっけ?)として計画することには反対するのです。政府・日銀によって発行された追加マネーは、莫大に膨れ上がった国債の償還と利払いに限定して使用されるべきです。それでも景気刺激策としては十分機能する筈です。国債の償還と利払いに使われた日本円は、いずれにしても生きたマネーとして市場に出て行くか、または再度国債に投資されて国庫を潤すのですから。日銀と協調して積極的な国債の償還と利払いを行なうこと、これをぜひ第2次安倍内閣の「1内閣1仕事」にしてもらいたいものです。

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コメント

橋下や石原は結局なにしたかったんでしょうかね。
この二人の軸ブレが今回選挙の浅ましさをさらけ出した感があります。
自民にも民主にも否定的な層を吸収するはずが、
安易に政策転向迎合してしまったもんだから、
その後の新党もインスタント政党になってしまった。
党の整合性を無理やりまとめる必要はなかったはず。
政策の思惑は色々あれども、まずは第三極として結集する狡猾さが欲しかった。
負のコミュニケーションというやつです。
敵の敵は味方、をリアルにやってほしかったなあ。
結局、かの二人は小粒だったということですね。

投稿: ロシナンテ | 2012年12月26日 (水) 07時26分

景気 消費税増税で プログ検索中です。消費税増税したら一部の?企業 漁業 農家は倒産になる。失業者が どれくらいでるかなぁ?思えば 3%、5%で 倒産 閉店したところもあるかなぁ。景気が よくなったらという基準はどうなるのかなぁ。景気があがっても、増税による倒産かなぁ。景気の変動もありますね。社会保障とは どういう具体案かなぁ。老人 医療身障者 失業者~。税収(歳入)は 大丈夫かナァ。
インフレにするのかなぁ?資本金 大丈夫かなぁ。大恐慌まで ならないよね。
お金が 紙切れになる~。
どういう国の主義になるのかなぁ? 
政治研究会(名前検討中
安倍総理の 口約 公約が 気になるところがある。強行採決。リコール運動できるかなぁ?

投稿: 村石太ダー&コピーマン | 2012年12月29日 (土) 23時14分

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