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2011年5月22日 (日)

危険で無意味な節電はもう止めよう!

 浜岡原発が止まって、この夏は全国的に電力不足になるという予想が現実味を帯びて来ました。政府は企業にも家庭にも15パーセントの節電を呼びかけています。ここで脳裏をよぎるのは、酷暑の昨夏、多くのお年寄りが熱中症で亡くなったという痛ましいニュースのことです。昨年は電力不足という訳ではありませんでしたが、高齢者のなかには「自然なものではない」冷房を忌避する傾向の人がけっこういらっしゃって、冷房機はあるのに「自然の暑さ」のなかで我慢をしていて熱中症にかかってしまった人が多かったと言います。今年はそこにさらに節電の心理的プレッシャーが加わる訳ですから、生真面目なお年寄りが真っ先に犠牲になってしまうのではないか、それをおそれます。

 少なくとも政府は、各企業や家庭に一律15%の節電を訴えるなんてことは止めるべきだと思います。特にお年寄りや病人や乳幼児のいる家庭は、節電の対象外とするというくらいのアナウンスをした方がいい。また電力消費量の大きなエアコンに代えて、いま扇風機が飛ぶように売れているようですが、あれも危険なものだということを政府広報か何かで告知した方がいいですね。私が子供の頃には家庭にエアコンなんてものはありませんでしたから、涼をとるための電気製品と言えば扇風機だけでした。そして毎年のように赤ちゃんやお年寄りが扇風機の風に当たって死んで行ったものです。子供たちは親から扇風機をつけっぱなしで眠ったりしないよう、きつく言われていました。最近の若い人たちはそんなことも知らないでしょうから、これも知識としてきちんと伝達しておく必要があります。

 多くの企業が独自に節電対策を打ち出しています。クールビズの服装にして、冷房の設定温度を高めに設定することは節電対策の基本でしょう。一方、勤務時間をシフトさせることで節電に協力しようという発想には疑問を持たざるを得ません。例えば出社時間を1時間繰り上げて、残業もしないよう徹底させれば、冷房の稼働時間は短くて済む。または工場の操業時間を深夜にシフトすれば、昼間のピーク時に電力を使わなくて済む。これは一企業の節電対策としては効果があるのでしょうが、社会全体として見た場合はどうなんでしょうか。夕方4時で退社したサラリーマンは、家に帰ればその分早くから冷房をつけることになる訳だし、途中で一杯やって行く人が多くなれば、居酒屋はその分早くから店を開けなければならなくなる。深夜に働く工員さんは、昼は家で寝なければならない訳ですから、工場の夜間シフトによって、家庭での昼間の冷房稼働率は大幅にアップする筈です。要するにピーク時の電力削減のためには「全体最適」を考えなければならない訳で、個々の企業や家庭がバラバラに節電に取り組んでも、逆効果になってしまう可能性が強いのです。

 冷暖房の必要が無い気候のいい5月に、何故政府は節電モードを解除しないのか、私には理解が出来ません。いま現在、東京電力管内でも電力は大幅に余っています。それなのに相変わらず駅のエスカレーターは止まっているし、オフィスの照明は暗くなったままです。エスカレーターが止まることで、お年寄りや身体の不自由な人たちが交通機関を使うことに苦労をしているのに、何故政府は、いや私たちは、そのことを見て見ぬふりをしているのだろう。オフィスの照明が暗くなることで、働く人たちの眼の健康は大丈夫なのだろうか。電力が不足しているならともかく、余っているんですよ。うがった見方をすれば、企業は節電ブームに乗って電気代を節約しているだけなんじゃないかとも思える。電気は東京電力の主力商品ですから、供給力は十分あるのに商品が売れなくなった東電の経営も心配です。福島原発の処理と地域住民への補償で企業の存続さえ危ぶまれている時に、主力商品の売上がガタ落ちになっては、今後の再建に向けた計画だって立たなくなってしまうに違いない。でも、東電が自ら「もっと電気を使ってください」とは口が裂けても言えませんよね。今後の安定した電力行政のためにも、ここは政府が行き過ぎた節電は止めようとアナウンスすべきなのです。

 この夏の電力不足に備えて、メリハリのある具体的な節電対策を早急に打ち出さなくてはなりません。一律15%なんて絶対にダメです。そんな大まかな方針だけで突き進んだら、この夏は本当に多くの人が暑さで命を落とす危険性がある。もしも私が政府の政策担当者だったら、どのような節電対策を国民にアピールするだろうか。まず人が集まるパブリックスペースでは例年通りの冷房温度を維持することを求めます。特に電車の中や百貨店などの店舗、飲食店などでは、独自の判断で冷房を弱くしたりしないでいただきたい。真夏の暑い陽射しを逃れて、やっと入ったお店で涼を取れないようでは、ほんとに都会では逃げ場が無くなってしまう。むしろ冷房を抑えることによる節電は、各家庭で励行してもらいましょう。家の中にいて暑さに耐えるのではなく、暑い日こそ外に出掛けようと提案するのです。(繰り返しますが、お年寄りや乳幼児のいる家庭はふだん通り冷房を使っていいし、使うべきです。) 例えばデパートが涼を求める人で賑わえば、景気対策としても有効でしょう。劇場や美術館などは、35度を超す猛暑日には割引料金を適用するなんてキャンペーンを行なってもいい。子供と一緒にプールもいいですね(海水浴は放射能がちょっと心配だけど)。要するにこの夏、国民はみんな夏休みが待ち遠しかった子供の頃の気持ちに戻ろうということです。

 夏を楽しむというコンセプトなら、もっと簡単で効果が確実な節電対策があります。「この夏は家族揃ってクルマで出掛けよう!」――ただそれだけのことです。考えてみれば、自動車というのは「自走機能が付いた小型の火力発電所」に他なりませんから、電力不足の折にこれを活用しない手はありません。家族みんなで出掛ければ、家で動いている電気製品はは冷蔵庫だけということになって、15%どころか90%以上の節電になるでしょう。クルマの中ならガンガン冷房を効かしても罪悪感を感じる必要は無い(EVに乗っている人は少し感じるかも知れませんが)。ましてこの夏は、火力発電所で使う重油を精製する際に作られるガソリンが余ることになるというのですから、これは一石二鳥のうまい手です。いや、クルマで出掛ける人が増えれば、観光地も潤って景気が上向くことまで考えれば、一石三鳥の名案と言っても過言ではありません。政府と自動車メーカーはタイアップして「夏はクルマで過ごそう」キャンペーンを展開すべきです。今年の夏は多くの企業で、ふだんより長い夏休みを導入する計画だそうですが、それで社員が「すごもり電力消費」に向かうようでは、節電対策としては逆効果にしかなりません。とにかく多くの人が家よりもクルマの中で過ごすことが大事、そのためには高速道路を夏期限定で無料にしてしまったり、ガソリン税を安くすることだって政治判断で出来ます。……おっと、これはいいアイデアだけど、大事なことを忘れていたぞ。かくいう私の家にはクルマなんて無かったんだ。まあ、自家用車も持っていない貧乏人は、みなさんが家族で出掛けているあいだ、家で気兼ねなく電気を使わせていただくことにしましょうか。(笑)

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コメント

LED蛍光灯に換える為、在来の蛍光灯が大量にゴミ。
エコカーと同じ構図。

バカバカしい様な。

投稿: 7色亭撫肩 | 2011年7月 3日 (日) 22時53分

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