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2011年3月26日 (土)

電力危機を乗り切るためのアイデア

 関東・東北の計画停電は、この夏も次の冬も続くのだそうです。これからの季節はいいけれども、昨夏のような猛暑のさなかにも電力が制限されるのかと思うと本当にうんざりします。いや、被災地で過酷な避難生活を送っている人たちのことを思えば、そんな贅沢を言ってはいけませんね。ただ、このまま〈計画停電〉という名の無計画な節電対策が続くと、国の復興にもブレーキがかかってしまうことは間違いないので、なるべく産業の効率を落とさず、個人にとってもストレスの少ない節電方法を考案することは私たち全員の課題です。今回は私の考えた節電方法について書きます。すべてこれは電力会社による計画停電を止めることを前提にしたアイデアです。というより、計画停電を止めさせるためのアイデアと言った方がいい。なかにはネタに近いものもありますが、議論のたたき台にでもなれば幸いです。

1.自分に電気を使わせない工夫を

 電気のある便利な生活にどっぷり浸かっている私たちは、節電が大切だと分かっていても、なかなか実行するのは難しいものです。こんな時、自分や家族に無理強いをすればストレスがたまるばかりです。ここはむしろ発想を変えましょう。「電気を使うことの方がひと苦労」という状況を作ってやればいいのです。まず家庭で無くても済ませられる電気製品をピックアップします。例えば、食器洗い機、電気ポット、コーヒーメーカー、アイロン、ふとん乾燥機、マッサージチェア、空気清浄機etc。まあ、ピックアップされる製品はその家によって違うでしょうが、そうして選んだものを物置きか押入れの奥深くにしまってしまえばいいのです(しまう場所が無い大型の機器は、コンセントが届かない場所に移動させるだけでも構いません)。家庭で一番電気を食うエアコンは、本体をしまうことは出来ませんが、リモコンを隠すことなら出来ます。例えば家で使うエアコンは1台だけと決め、その他はリモコンを隠し、コンセントも抜いてコードを束ねて固く縛ってしまう。蛍光灯や電球は新しいものに替えて、その代わり半分の本数に間引いてしまいましょう。これなら意志の弱い私でも自然に節電が出来そうです。

2.アンペア低減にエコポイントを

 家庭で使う電力を総量で減らすための一番手っ取り早い方法は、契約アンペア数を低くしてしまうことでしょう。要するにブレーカーがすぐに落ちるようにするのです。これは野口悠紀雄さんが提案しているアイデアですが、電力会社との契約アンペア数が上がるごとに、現在の基本料金を累進的に高くすれば、多くの家庭で低いアンペア数に契約を変更するだろうというのです。(例えば30Aなら1000円、40Aなら4000円、50Aなら1万円といったふうに。) いいアイデアだと思いますが、ただこれだと各家庭ごとの特殊な事情が考慮されないので、一部で不公平感が出て来そうです。贅沢をしている訳ではなくても、大所帯の家庭や病人を抱えた家庭ではアンペア数削減は難しいからです(もちろんオール電化住宅に住む人も)。この問題は、多くの人が提案している〈電力税〉についても言えます。電力税を使用電力量に応じて徴収すれば、電気を無駄遣いしている人たちを懲らしめるばかりでなく、生きるために電気に頼らざるを得ない人たちの生存権をも脅かすことになる。私の提案はもっとマイルドなもので、現在の契約アンペア数にかかわらず、それを1段階下げるごとに国が報奨金を出したらどうかというものです。現在40Aの家庭が30Aにすれば1万円、60Aを40Aにすれば2万円もらえるといったイメージです。これなら誰も不幸にすることはありません。その手続きだって簡単です。せっかくいまエコポイント制度というものがあるのだから、契約アンペアの低減にエコポイントを付ければいいのです。節電の気運が高まっている今、これを実施すればかなりの家庭がアンペア低減に協力してくれるのではないでしょうか。

3.時限措置で残業代を廃止する

 こんな不況でも多くのオフィスでは深夜まで煌々と電気がついています。時節柄、当面のあいだ残業は止めませんか。残業を減らす最も効果的な方法は、残業代を廃止することだと思います。これは(特に民主党には)実行が難しいことだと思いますが、時限立法によって企業に時間外手当の支払いを免除するよう法律を改正するのです。大震災によって多くの企業が財務危機に陥ることが予想されますから、これは一時的な企業救済策としても有効だと思います。それにこれは日本人の働き方を効率的にするためのいいチャンスだとも言えます。私が働いているコンピュータ業界でも、日が暮れたころからエンジンがかかったように仕事を始める人が多い。半分は残業代のためでしょうが、半分は習慣の問題です。これが日本のホワイトカラーの労働生産性を著しく低くする原因になっている。夕方5時に電灯が一斉に消えるとなれば、定時間内にバリバリ仕事をするしかない。そして会社が引けたあとは、毎日まっすぐ家に帰るのではなく、なるべく夜の街にお金を落とすように生活習慣を改めましょう。

4.企業活動を24時間の3交代制に

 節電が必要と言っても、求められているのは電力を総量で削減することではなく、ピーク時の電力を平準化することです。いくら家庭で節電を進めても、企業活動に使われる電力がピークを押し上げているのでは意味がありません。しかし、このピークをならすのは実は簡単なことではないかと思います。1日24時間を8時間ずつ3分割して、企業活動を3交代制にすればいいのです。これまでも工場などでは、繁忙期には3交代で24時間操業することは普通にやっていたと思います。それを複数の企業が8時間ずつ交代で行なうというイメージです。例えば午前9時から午後5時までを「1勤」、午後5時から午前1時までを「2勤」、午前1時から午前9時までを「3勤」と呼ぶことにしましょう。本社機能や営業所などは「1勤」で固定するしかないかも知れませんが、電力を大量に使う製造現場などは「2勤」「3勤」でもいい訳です。(残業代は廃止されますが、夜働く人たちのために夜間手当や深夜手当は残します。) どの企業のどの事業所がどの勤務シフトを選ぶかは、基本的にそれぞれの企業が選択することになります。但し全体としての電力消費が平準化されるよう行政が指導を行なうことも必要でしょう。「2勤」や「3勤」を選択した企業には、電力料金や税制面で優遇することも検討します。とにかく電力供給が復旧するまでのあいだ、東京電力管内のどの事業所も残業無しの8時間操業にすることが基本で、それを事業所ごとにシフトさせることで電力需要のピークを無くそうという発想です。被災地に送る物資の生産などに携わる事業所では、例外として16時間操業、24時間操業も認められます。

5.もちろん鉄道やバスも終夜運行

 企業が交代制の24時間操業を行なう以上、働く人を運ぶ交通機関も24時間体制でバックアップする必要があります。つまり鉄道やバスは終夜運行をするということです。電力が不足しているさなかに、真夜中にも電車を走らせるのはおかしいような気もしますが、それは電力不足を総量で考えているからです。何度も言うように、問題は電力使用のピークアワーを解消することですから、これは正しい考え方なのです。昼間の運転本数を減らすことにすれば、鉄道会社の電力使用量が総量で大きく増加することもないと思います。線路の点検などが深夜に行なえなくなると、安全面に不安が出る可能性もあります。これに対しては土曜と日曜の深夜に運行停止時間帯を作って、そこで点検修理を集中的に行なうことでどうでしょう。これから日本は、深刻な需要不足と供給不足が起こって、経済が著しく落ち込むと予想されます。だったらこの際、日本という国を「24時間営業の国」にしてしまって、他の国が寝ているあいだにも大いに働いて大いに遊ぶというコンセプトにしてしまえばいい。もしも電力が復旧したあとにも、この24時間営業体制が私たちの生活習慣として定着するなら、日本の国際競争力は復興を突き抜けてぐんと伸びるだろうと予想します。

6.もちろん飲食店も24時間営業

 震災後、客が来なくなって飲食店が悲鳴を上げていると言います。行き過ぎた自粛モードは、却って日本経済を停滞させ、被災地の復興にもブレーキをかけるだけだという意見もよく目にします。私自身、3月11日以降、会社の帰りに飲んで帰ることがなくなりました。被災地の方たちのことを思うと自粛したくなるという気持ちももちろんありますが、それだけではなく帰宅難民になった時の記憶が強過ぎて、電車のあるうちに早く帰ろうという一種の〈帰巣本能〉が働いているのを感じます。ですから、電車の終夜運行が始まれば、客足は自然にネオン街に戻って来るだろうと思うのです。なにしろ終電を気にせずに飲めるんですから。そして日本が24時間営業国になるなら、当然飲食店も24時間営業にならなくちゃいけない。こちらは自発的な輪番制になるでしょう。さまざまな勤務シフトの企業が集まっている地域では、繁華街の飲食店が営業時間をずらしながらいつでもどこかはネオンを灯していることになる(まあネオン管はなるべく止めてLEDにした方がベターですが)。大きな工場の門前町のような地域では、当然その操業時間帯に合わせて店を開くことになるでしょう。この際風営法も改正して、例えばパチンコ店の深夜営業も認めましょう。電力需要のことを考えれば、パチンコ店だって時間をずらしての交代営業にすべきです。またこれも誰かのアイデアですが、お店では売上の一部を被災地への寄付に回すことにして、そのことを客にアピールすれば、この時期に外食をしたり遊んだりすることの後ろめたさも多少は緩和される筈です。

7.静岡県をまるごと60ヘルツ地域に

 もしかしたらこの夏の電力危機というのは杞憂に終わるかも知れない、ふとそんな不吉な予感がよぎりました。福島原発の放射能事故が深刻なものになれば、関東から脱出する人たちが増えると予想されるからです。そのことは考えないとしても、電力不足を解消するためには東京電力管内の人口を減らしてしまうのもひとつの方法です。例えば静岡県をまるごと中部電力の管区に移してしまうことは出来ないものでしょうか?(いや、静岡県でなくても山梨県でもいいのですが…) 西日本と東日本では電気の周波数が違うために、互いに電力の融通が出来ないなんて、まったくこの国の基本設計はどうなっているのだろうと思います。周波数を変換するための大規模な設備を作るには、新しい火力発電所を作るのと同じくらいのコストと時間がかかるのだそうです。これに対して、これまで50ヘルツだった地域を60ヘルツに変更することは技術的に難しいのでしょうか? 私には分かりませんが、可能性のひとつとして検討してみる価値はあるのではないかと思います。これによってその地域の家庭や企業では、使っている電気製品を買い換えなければならなくなるかも知れません。しかし、最近の多くの製品は両方の周波数に対応している筈ですし、買い換えが必要なら国が補助を出して、使えなくなった製品は被災地に送ればいいのです。将来的には、経営に行き詰まった東京電力を関西電力か中部電力に統合して、これを機会に全日本を60ヘルツで統一するというところまで構想しましょう。

8.停電は「ロシアンルーレット方式」で!

 ここまで述べて来たのは、電力会社が計画停電をしなくても電力危機を乗り切るためのアイデアですが、それでも電力不足は起きるかも知れません。そこで私が提案したいのは、事前に停電告知をしない「ロシアンルーレット方式」の強制停電です。例えば管内を25のグループに分け、電力使用量が供給量の95%を超えたらランダムにひとつのグループへの送電をストップします。その状況でまた95%を超えてしまうようならふたつめのグループへの送電を止めます。停電はいきなりやって来ますが、長くは続かないものとします。現在の3時間停電というのは家庭にとっても企業にとっても長過ぎます。せいぜい1時間、出来れば30分で停電は終わらせたい。停電するグループは、毎回ランダムに抽選で選ばれますから、さっき停電があったから今日はもう無いとは誰も言えません。(但し30分間停電した地域は、そのあとの1時間は停電しないというくらいの配慮は必要です。) このロシアンルーレット方式のメリットは、あらかじめ告知された計画停電と違って、管内のすべての電力利用者が常に節電をするインセンティブを持つことになるという点です。今はまだ非常時モードなので、ほとんどの人が節電に心がけていますが、暑い夏になれば計画停電に当たっていない地区の人は電気を惜しまなくなる可能性があります。これがロシアンルーレット方式ならば、次は自分の番かも知れないのでみんなが節電に協力する(一種のゲーム理論ですね)。それに停電は30分で終わるので、家庭でもオフィスでも大きな混乱は起こらないと思われます(夏の風物詩のようなものになるかも知れません)。工場にとっては短い停電でも致命的かも知れませんが、それを避けるために深夜操業に移行しているのでたぶん実害は少ないでしょう。また30分程度の停電なら、自家用のバックアップ電源装置を導入することで乗り切れる可能性もあります。何度も言いますが、とにかく今の計画停電というやり方は最悪です。何故電力会社が勝手に決めた停電計画で私たちの生活が掻き乱されなければならないのでしょう。それなら抽選によるランダム停電の方がまだマシです。政府と電力会社にはぜひこの方式を検討していただきたいと思います。

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東京消防庁ハイパーレスキュー隊員を始めとする数多くの自らの命を顧みない無名の人々の献身により,第一の危機は乗り越えることができた.危急の事態に「圧倒」される初期状態からぎりぎりのところで巻き返しに転じ,何とか事態をコントロールできる可能性が芽生えてきた.全世界の注視を浴びる中でここまで踏ん張ることができたことを日本国民の一人として誇りに思う.しかし,依然として前途は多難であり,楽観は許されない. 現場的には大量の放射性汚染水をどうするかというところで関係者の苦悶・苦闘が続いている.基礎技術的に... [続きを読む]

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