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2010年1月24日 (日)

カジノ特区は絶対に失敗する!

 先週競馬の話題についてちょっと書いたら、むかし競馬場に通っていたころの熱い気持ちが甦って来ました。このままこのブログの方向性がそちらにそれてしまうのではないかと心配ですが(笑)、もう一度だけ、今週もギャンブルの話題を取り上げようと思います。最近なにかと人騒がせな亀井大臣が、沖縄に「カジノ特区」を設置するという構想をぶち上げました。沖縄県知事もこれに賛同の考えで、亀井さんとは意気投合している様子です。カジノ特区と言えば、東京都の石原知事や大阪府の橋下知事も、その実現と誘致に向けて積極的な発言をしていたと思います。確かに地域の観光の目玉になって、しかも苦しい財政にとってもプラスになるとなれば、政治家がこれに色目をつかうのも当然だという気がします。しかし、私はカジノ特区は日本では絶対に成功しないという確信を持っているのです。何故かということをこれから書きます。

 日本の法律は、競馬・競輪などの公営ギャンブルを除いて、賭け事というものを禁じています。どこかのマンションの一室で行なわれている地下カジノのようなものはもちろん、ふつうの家庭で遊ばれている賭け麻雀だって厳密には非合法なのです。にもかかわらず私たちは、日本が世界でも例を見ないほどのギャンブル大国であることを知っている。そう、パチンコのことです。日本中央競馬会(JRA)の年間売上が3兆円弱なのに対して、パチンコ業界の売上は20数兆円にも上ります。これはいくら驚いても驚き足りないくらいの数字で、例えばそれが国内の新車販売高の3倍にも相当する金額だと言えば、その尋常ならざる市場規模が理解いただけるのではないかと思います。日本ではギャンブルが禁止されているから、ある地域限定でカジノを公認すれば、人気スポットになって経済効果も見込めるだろう、これがカジノ特区推進派の理屈だと思いますが、そもそも前提が間違っています。国内には13000軒ものパチンコ店があって(最近はつぶれる店も多いようですが)、パチンコ人口は2千万人とも言われている。おそらく日本人の9割以上は、自宅から15分以内で最寄りのギャンブル場(パチンコ屋)に行けるロケーションに住んでいる。(調べた訳ではありません。私の直感です。笑) そんな国が世界中のどこにありますか? 世界的な常識からすれば、ギャンブルというのは〈非日常性〉を楽しむレジャーだと言えます。ところが、この国ではギャンブルは身近な日常なのですから、わざわざ沖縄までの航空券を手配してまでカジノ遊びに出掛けようという人はそう多くないと思われるのです。 

 ここまではまあ誰もが考える、日本でカジノが成功しない理由なのですが、私の考察はさらにその先まで突っ走ります。この国でカジノ特区が失敗に終わるもっと根本的な理由は、一般にカジノで行なわれているゲームが、パチンコや競馬や麻雀などと比べて、ゲームとして圧倒的につまらないという弱点を抱えていることです。あちこちの自治体やシンクタンクのようなところが、カジノを誘致した場合の経済効果について調査報告書を書いているようですが、こうした「ゲーム自体の面白さ」に着眼して論を展開しているところは見当たりません。私たちが知っているカジノゲームと言えば、ルーレット、バカラ、ブラックジャック、それにスロットマシーンといったところが代表的でしょう。私自身のカジノ体験は、むかし香港旅行のついでに立ち寄ったマカオで、「大小」のテーブルで小1時間ほど遊んだだけですが、多少儲かったにもかかわらず、こんなつまらないゲームは無いと思った。理由ははっきりしています、これらのカジノゲームは運の要素がほとんどで、深い戦略も無ければプレイヤーの技量を進歩させる要素も無いものだからです。翻って国内のギャンブル事情を省みれば、競馬や麻雀なんて生涯をかけても極め尽くせないほど奥の深いゲームだし(麻雀も昔はよくやりました)、パチンコのことは私はよく分からないけれども、これもうかつに手を出せないほど深淵なゲームであることは、コンビニにたくさん置いてあるパチンコ雑誌やきっこのブログなどを覗いてみれば分かります。ふだんギャンブルとは縁の無い堅実な生活を送っている世界中のほとんどの国民にとって、カジノは夢の別天地のようなところなのかも知れません。が、私たち日本人にとってはそうではない可能性の方が高いのです。おそらくカジノ特区が開設された当初は、もの珍しさで観光客が押し寄せたとしても、リピーターは増えず、やがては常習的なギャンブル中毒者だけがたむろす、さびれた場末のゲームセンターのような場所になってしまうのではないか。

 私は日本ではカジノ特区は失敗すると言っているだけで、これに反対している訳ではありません。2千万人のパチンコ人口を抱える我が国は、ある意味、世界で最も先端的なギャンブル王国なのですから、ラスベガスやマカオのような既存の単調なゲームを提供するだけのカジノを作っても意味が無いと言っているのです。(これを公共事業型の「ハコものカジノ」とでも命名しましょうか。) むしろ政策としてカジノの導入を構想するなら、オリジナルのコンテンツにこそこだわるべきです。日本は家庭用ゲーム機で世界を席捲するほどのコンテンツパワーを持っているのですから、これを新しいカジノゲームに応用しない手はない。どうでしょう、もしも亀井さんあたりがそんな政策構想を打ち出せば、手を挙げるゲームメーカーやソフトウェア会社はたくさんあるのではないかな。とにかく遊びの施設を作るのに、官僚的な発想でやったら失敗するのは目に見えています。おりしも今週のインターネット・ニュースでは、アジア各国で新しいカジノ建設計画が目白押しだという話を伝えていました。このままでは過当競争に陥ってしまう可能性もあるというのです。どこの国でも政治家や役人の考えることは一緒ですね。これからの時代、従来のハコものカジノは間違いなく衰退する、私はそう予想します。このところマカオのカジノが非常に賑わっているようですが、それはこれまで遊びを知らなかった中国の新興富裕層が夢中になっているだけの話で、世界中から観光客を集めている訳ではないと思います。ギャンブル先進国の日本が、いまからその二番煎じを狙おうなんていうのは、愚かしいことであるばかりか税金のムダ使いでしかありません。 

 で、ここから先は私の空想になりますが、もしも国内にカジノ特区を作るなら、それは特定の地域にハコものとして作るのではなく、インターネットの空間の中にこそ作るべきでしょう。これならギャンブル好きは、近所のパチンコ店に出向く必要さえ無くなる。魅力的な新しいコンテンツがどんどん現れれば、これまでギャンブルとは無縁だった人たちも取り込むことが出来るかも知れない。もちろん参加するのは二十歳以上に限定するという認証の仕組みは必要ですが、それさえあればパチンコや競馬よりも不道徳という訳でもありません。裏社会の資金源となっていると言われるパチンコ業界に流れるお金を、国が運営するインターネット・カジノの方に振り向けることが出来れば、社会の健全化にだってつながる期待が持てます。カジノ特区構想には、海外からの観光客を呼ぶという目的もあるのに、インターネット・カジノではその役に立たないという反論があるかも知れません。しかし、日本という国に魅力を感じて来日する観光客が、カジノ遊びを喜ぶとは私には思えないのです。それはむしろ観光国としての日本のブランドをおとしめるだけでしょう。それに外貨を稼ぐことが目的なら、インターネット・カジノの方がずっと有利だということもあります。国が運営する21世紀のこの新しいカジノを、国内だけでなく世界に向けても公開するのです。参加するプレイヤーは、自国の通貨をその時の為替レートで日本円に交換して、それで好きなゲームを楽しむことが出来るようにする。なにしろコンテンツ・ニッポンの提供するゲームなのだから、面白くない訳がない。何もしなくても政府はどんどん外貨を獲得出来るようになります。財政赤字も一挙に解消です。「jpドメイン」がインターネットにおけるカジノ特区として世界中から認知されるようになり、日本円がそこで共通に使えるチップとして流通するようになれば、日本円がドルに代わる基軸通貨の地位を狙える日だって来るかも知れないのです。(ウソ)

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コメント

ネットカジノ、少し弱いですね。
バーチャルギャンブルがいま一つ普及しないのは、
胴元のイカサマを見抜けない怪しさ、です。
パチンコに対する疑惑の一つがこれですよ。
私営ギャンブル店に誰もが思う所です。

投稿: turusankamesan | 2010年2月19日 (金) 22時22分

turusankamesanさん、こんにちは。

インターネットカジノの運営母体は国か自治体ですから、胴元がイカサマの嫌疑を受ける可能性は少ないと思います。

日本の場合、公営ギャンブル(競馬・競輪・宝くじなど)は、すべて客同士が賭け金を奪い合うタイプのゲームですから、胴元がイカサマを仕組むメリットはありません。控除率、つまりテラ銭の比率は一定なので、全体の売上高に比例して胴元も儲かるというだけの話です。

これに比べると、代表的な民営ギャンブル(ルーレット、ブラックジャック、パチンコなど)は、客と胴元がサシで勝負するタイプのゲームですから、イカサマを仕組むことにも意味があります。もしも民間業者がこのタイプのギャンブル・ゲームをネットで配信したら、それは怪しいと思われても仕方ありませんね。

ただ、現実的な話として、ネット配信のゲームで主催者がイカサマをすることは難しいと思います。何故って、第三者の監査機関が参加者を装ってサンプリング調査をすれば、意図的な操作がされているかどうかは簡単に分かってしまうからです。私にはむしろ、実際にイカサマが行なわれている可能性の強いパチンコが、これほど人気を得ていることの方が不思議でなりません。

投稿: Like_an_Arrow | 2010年2月20日 (土) 23時29分

カジノの楽しさは、ゲームそのものの面白さより、その場の雰囲気や緊張感だと思います。

ブラックジャックやルーレットといったゲームは奥深くないが、当たるかはずれるかの緊張感、そしてそのカジノの空間やそこにいる人といった雰囲気を楽しんでいるのではないでしょうか?

日本でのカジノは成功すると思います。

投稿: Showow | 2010年11月16日 (火) 03時21分

Showowさん、こんにちは。

日本でカジノが成功するかどうかということは、机上で議論をしても結論の出ない問題です。

ただ、この程度ならご同意いただけるのではないかという論点なら提示出来ます。法律でギャンブルが禁止されている国が二つあったと想像してください。一方にはGDPの5%ものお金を吸い込むパチンコという非合法カジノがあり、もう一方にはそのようなものは一切無いとします。国がカジノを解禁する宣言をして、大手カジノのオーナーであるあなたのところに出店を打診して来ました。どちらの国の方が魅力的かは、考えるまでもないことではないでしょうか。同じ人口を抱える二つの市があって、一方は数軒のスーパーマーケットがしのぎを削っているのに対して、もう一方はスーパーが1軒も無いとした場合、どちらに出店すべきかという問題と同じです。

投稿: Like_an_Arrow | 2010年11月17日 (水) 00時07分

ふと気が付いたんですが、ネットでのブラックジャックやルーレットってカウンティングが可能になりはしませんか。
たしか、ラスベガスではメモ等でのカウンティングは許可してないはず。
記憶力のみによる特殊能力を持った人だけが勝てるゲームで、そういう人は大勝ちした後入場できなくなったと記憶してますが。

投稿: turusankamesan | 2010年11月19日 (金) 20時26分

turusankamesanさん、こんにちは。

確かにブラックジャックというのは、カウンティングによって期待値を1以上に出来るという話を聞いた記憶があります。ネット配信には向かないゲームですね。ルーレットの方はカウンティングをしてもしなくても期待値に変わりはありませんから、別に問題は無いと思います。それともturusankamesanさんは、出目表をつけながらルーレットで勝負をするタイプの人ですか?

投稿: Like_an_Arrow | 2010年11月21日 (日) 02時41分

ポーカーはゲーム性がとても優れてると思いますが、やったことないんでしょうか?
賭けポーカーほど緊張して、楽しい物はないと思ってるんですけどねぇ。

投稿: | 2011年7月 6日 (水) 05時05分

何を隠そう、実は私もポーカーが大好きで、昔はよく仲間とスタッドポーカーやハイロウポーカーをやったものです。横浜にPXコートというダーツバーがあって、そこの中2階に素晴らしいポーカーテーブルがあったんです。もう20年くらい前のことです。

ただ、ポーカーはとても優れたゲームなんですが、純粋なカジノゲームではないんですね。麻雀と同じくプレイヤー同士が競い合うゲームだからです。カジノにあるポーカーテーブルは、要するに場を貸しているだけで、雀荘と同じです。ラスベガスでも、ポーカーが遊べるカジノはそう多くないんじゃないかな。

ポーカーテーブルのあるカジノなら、私も行ってみたい気がします。でも雀荘でさえ廃れてしまっているこの国で、ポーカーで人が呼べるかというと、やはり疑問だと思うんです。

投稿: Like_an_Arrow | 2011年7月 6日 (水) 23時41分

カジノ特区が失敗する主な原因が既存のパチンコ店が生活圏内に既に多数存在するからというご趣旨ですが、これは既存のパチンコ店がそのまま継続することを前提にたったご意見で承服できません。

パチンコ業界はご存知のとおり、脱税の温床になっております。
これには過去の前提に囚われずに鋭いメスを入れる必要があり、結果的に潰れるパチンコ店が出てくることは想定しなければなりません。
脱税で得た金で維持していたわけですので、行政は徴収して潰れることを恐れてはいけないと思うのです。

その点、カジノ特区には監視員を設けますので、カラス張りになります。

町のパチンコ店がカジノ特区へシフトすることを前提に話をしなければ、カジノ特区本来のメリットは見えてきません。

また、

>わざわざ沖縄までの航空券を手配してまでカジノ遊びに出掛けようという人はそう多くないと思われるのです。


ラスベガスは砂漠のど真ん中にあり、多くの観光客を呼んでおります。

ご存じないかもしれませんが、ラスベガスからかなり離れた先住民族居留地には既存のカジノがあり、それでも人々は飛行機に乗りラスベガスを訪れます。

カジノ特区というハードを見るのではなく、その中でどう売り上げが管理運用され、国民に反映されるのかまで見ないと、議論提起としては不十分だと思います。

投稿: | 2011年8月28日 (日) 18時58分

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