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2010年1月31日 (日)

「米軍基地は硫黄島へ」に大賛成!

 私たちが人生のむずかしい問題に直面して、八方塞がりのように感じてしまうのは、八方塞がりのアタマで物事を考えているせいではないでしょうか? そんなふうに感じることがあります。沖縄「普天間基地」の移転問題は、候補地として挙がっていた辺野古を擁する名護市の市長選で、受け入れ反対派の候補が勝利したことによって振り出しに戻ってしまった感があります。選挙の結果を見れば、両陣営の票数はほぼ拮抗していますから、名護市民のなかにも受け入れ賛成の立場の人も多かったのでしょう。ダムや原発などの建設問題にしても同じですが、こうした問題は地域の住民を引き裂いてしまう残酷な一面を持っています。これからの政治が配慮しなければならないことは、最初からそうした「踏み絵」を住民に踏ませるような選択肢は出来るだけ避けることだと思います。で、もしも首相が「ゼロベース」と言うのなら、ここはひとつ発想を変えて、賛成派の住民も反対派の住民もいない地域を新たに選んではどうでしょう。ダムや原発では難しいけれども、基地ということなら可能性はあります。無人島への基地移転ということです。

 先日の朝日新聞「声」欄に、『普天間の移転先、硫黄島が最適』と題する86歳の方の投書が載りました。硫黄島と言えば、太平洋戦争の激戦地として私たちの記憶に残っている訳ですが、いったいどんな形の島で、どのくらいの広さがあって、今はどのように使われているのかといったことについて、調べたこともなければ気にしたこともありませんでした。ウィキペディアによれば、硫黄島は小笠原諸島の南に位置する、東西8キロ、南北4キロ、面積22平方キロの島で、現在は自衛隊の駐屯地として使われているのだそうです。行政区は東京都ですが、住民が住んでいる訳ではなく、わずかな自衛隊員が駐留しているだけです。日本の火山島には高い山や険しい断崖を持つ島が多いのに対して、地殻の隆起によって出来た硫黄島の地形は比較的平坦で、そのため第二次大戦当時から軍事拠点として利用されて来たのでした。航空写真を見れば、今も島の中央には自衛隊の長い滑走路があるのが分かります。普天間基地の面積は4.8平方キロですから、移転先としての広さも十分。うまく土地を利用すれば、米軍基地と自衛隊の基地とを併設することも出来るのではないでしょうか。そうすれば、日米合同演習の演習地としても便利です。

 もちろん米軍には無人島にお移りいただく訳ですから、インフラ整備は日本政府が責任を持って行なわなければなりません。島の地図や写真を見ていると、街づくりのためのいろいろなアイデアが浮かんで来ます。島の西南端には摺鉢山という標高169メートルの山があります。頂上には米軍のレーダー設備が置かれることになるでしょうが、またここには頂上に至るまでのロープウェイかケーブルカーを設置して、観光客のための展望台なども作ってしまいましょう。山のふもとにはホテルや飲食店などを誘致します。硫黄島には温泉も湧き出ているそうですから、それもセールスポイントになる筈です。そう、新しい硫黄島のコンセプトは、「基地と観光が共存する島」というものになるのです。先週の記事で私は、日本には「ハコものカジノ」は向かないと書きましたが、ここにならカジノも似合いそうです。わざわざ極東の小さな島に、家族や恋人とも別れて赴任して来るアメリカの兵隊さんをもてなすのに、そのくらいの準備があってもいいのではありませんか。普天間でも嘉手納でも横須賀でも、基地の街には独自の文化が根付いていると思います。それは日本人の我々にとっても、エキゾチックでちょっと魅力的なものだったりする。そういう基地文化をうまく演出出来れば、日本人の観光客も集まるだろうし、ここで商売を始めようという事業者も呼べるのではないでしょうか。ここには基地反対派の住民もいないし、兵士たちも後顧の憂いなく任務に当たれる訳で、米軍にとっては理想的な在外基地のモデルとなり得るのではないか。

 なんと言っても硫黄島がいいのは、ここが東京都の一部だというところです。普天間からここに基地を移せば、沖縄にとっては念願の県外移転が実現することになります。例えば石原知事が基地を受け入れることを宣言すれば、オリンピックの誘致や築地の移転問題で地に堕ちた人気を少しは挽回する機会になるかも知れません。東京都民にとってこの誘致は痛くも痒くもない訳で、誰も反対する理由なんてありません。むしろ国が拠出する「思いやり予算」が、観光収入を通じて東京都に還流して来るのですから、棚からボタ餅と言ってもいいほどです。…いや、それよりもいま一番失地回復が必要なのは、石原さんではなくて鳩山さんの方でしたね。今週、民主党は基地移転の候補地として、今度は徳之島の調査を始めたとニュースが報じていました。地元からは早くも反対の声が上がっています。こういう優柔不断なことばかりやっているから、鳩山民主党の支持率も下がる一方なのだ。硫黄島への基地移転ということについては、社民党も可能性のひとつとして挙げているらしい、そのことも今回ニュースを検索していて知りました。何故これを真面目に検討してみないのでしょう。アメリカがそれで納得するかどうかということは、実はあまり重要なことではなくて、そういう選択肢をこちらから突き付けることで、日本がこの問題に対する主導権を取ることこそが重要なのだと思います。米政府が基地問題の決着を迫って来るなら、詳細な調査結果と実現のためのプランを示して、硫黄島移転かあるいは撤退かという選択を逆にこちらから迫ればいい。どうせアメリカだって、いまの財政状態が続けば軍事予算を大幅に削減せざるを得なくなるのです。日本政府には「それまでの我慢くらべだ」という視点も必要です。

 これも今回、硫黄島について調べていて知ったのですが、この島には今でもおびただしい数の日本兵、アメリカ兵の遺骨が土に埋もれて眠っているのだそうです。ルソン島やサイパン島のジャングルならともかく、日本の領土であるこんな小さな島のなかで、戦後六十余年を経たいまも〈英霊〉の遺骨が雨ざらしのまま放置されているなんて! これは自分にとってかなりショックな事実でした。(不勉強であることは承知しています。) もしも普天間基地を硫黄島に移転するというオプションがあり得るなら、まずは遺骨の収拾から始めましょう。それを放っておいて、その上に新しい滑走路を作るなんてことは出来ませんからね。過去の重い歴史を持つこの島に、日米両軍の新しい基地を作るというアイデアは、戦後ずっと私たちが先送りにして来た大事な何かに対するけじめをつけることにもつながるような気がします。と書いて思い出したことがある、以前mori夫さんのブログで教えてもらった硫黄島に関する感動的なエピソードです。戦後四十年を経た1985年、この地で戦って生き残った日米の旧軍人たちが、亡くなった兵士の慰霊のために島を訪れる機会があったのです。そこで彼らは抱き合って涙を流し、平和を誓い合いました。それをひとりのアメリカ人の少年が見つめていました。彼はそこで感じたことを手紙にしたためて、当時のレーガン大統領に送ったのです。それが評判になり、日本の新聞にも紹介されたのでした。(何度読み返しても目頭が熱くなる記事です。) もしも硫黄島がこれからの新しい日米関係を築くための〈橋頭堡〉になり得るのなら、それを成就させることこそが、この島で散っていった日米の兵士たちの魂魄に報いることであるのかも知れない、そんな気さえ私にはするのです。

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コメント

本文を読んで感動しました。
大賛成です。
米国駐在エンジニアより

投稿: まさるさる | 2010年4月21日 (水) 22時18分

まさるさるさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

鳩山総理はなんだか今とても悲壮な感じですね。普天間基地の移転は難しい問題には違いないですが、これを機会に日米の同盟関係を未来志向なものに変えて行くいいチャンスだと思っています。そのくらいの大局観を持った政治家が、日本にも現れないものですかねえ…

投稿: Like_an_Arrow | 2010年4月22日 (木) 23時36分

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