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2009年9月 6日 (日)

民主党は4年後までに党を分割せよ

 いまから4年前にこのブログを始めた時、私が最初に投稿した記事は選挙制度改革に関するものでした(こちらの記事です)。ちょうど郵政民営化を争点とした衆院選で自民党が大勝した直後のことです。あの時も今回と同じことが起こったのでしたね。小選挙区制という不思議な制度のせいで、世論のちょっとした傾きが圧倒的に増幅されて選挙結果に跳ね返って来る。前回の選挙で自民党と民主党が小選挙区で分け合った票は、この二党だけの比率で見ると自民が57%で民主が43%、それなのに獲得議席で見ると自民81%(219議席)に対して、民主19%(52議席)という結果でした。今回はそれが逆転した訳です。得票率は自民が45%で民主が55%なのに、議席数では自民22%(64議席)に対して、民主78%(221議席)。麻生さんが言っていたように、「選挙はバクチではない」のだから(笑)、賭け金に対するこの極端なオッズの偏りはやはり制度として問題ありだろうと思います。

 これに対する(当時の)私の処方箋は、政党の支持率と議席数を乖離させないために、全国統一の比例区選挙にしてしまえというものでした。その後、私も少し選挙制度について調べたり考えたりして、単純な比例区よりも「専門区」というのを作ったらどうだろうと考えるに至りました(記事はこちらです)。いまでもこれが選挙制度改革のひとつの理想形であるという考えに変わりはありません(誰も評価してくれないけど。苦笑)。ただ、今回の選挙の結果を見て、公平性という面では非常に問題のある制度だとしても、小選挙区制というものにもそれなりのメリットがあることを認識しました。それは「二大政党制というのは選挙民にとって面白い」ということです。政権交代という大きなイベントが起こったにもかかわらず、有権者のあいだには4年前のような熱狂は無かったという論評を読みました。そりゃ小泉劇場と呼ばれたあの時のような熱狂は無かったかも知れないけど、だからと言って有権者が政治に関心を失っていた訳ではない。そのことは投票率が70パーセントに迫っていることからも分かることです。政権与党に対して常に有権者が「政権交代」という切り札を突き付けている状態にあることは、政治に対する国民の意識を高く保つためにも有効なことでしょう。

 もしも4年後も同じような仕組みで衆院選が行なわれるとすれば、次回の選挙はきっとテーマの無い、盛り上がりに欠けたものになるだろうと予想します。今回の選挙で自民党にお灸をすえようと思って投票した人は、これから自民・民主による本格的な二大政党の時代が来ると信じているのかも知れません。しかし、私はそれはあり得ないと思っています。もはやどう転んでも自民党に〈復活の目〉は無いと考えるからです。今回起こったことは、ひとつの時代が決定的に終わったということの結果であって、これは歴史上1回こっきりの出来事です。いや、もしかしたら現実に自民・民主による二大政党の時代が来るのかも知れない、その可能性も考えられなくはありません。しかし、それは民主党が政策を誤り、スキャンダルにまみれ、そこをすかさず自民党(の残党)が攻撃して来るという、史上最低の泥試合による二大政党制になった場合です(その可能性も小さくはないかも知れません)。これは国民にとって最も不幸な結末であるに違いない。これに対して先手を打つ意味でも、政権を取った民主党がぜひ今すぐやっておくべきことがあります。それは次回の総選挙において、国民に明確な政策選択が出来ることを保証するために、4年後までに民主党を2つに分割することを公約として追加することです。

 誰もが指摘することですが、今回民主党と自民党が提示したマニフェストは似たり寄ったりの内容でした。今回の選挙は「政策選択」がテーマではなく、「政権交代」そのものがテーマだった訳ですから、その点には有権者は目をつむった訳です。でも、次回はそれでは許されない。アメリカの共和党と民主党を見れば、その対立軸は目先の政策に関わることだけでなく、国民ひとりひとりの道徳観や宗教観に根ざしたところにまで食い込んでいる。何故アメリカの大統領選があんなに盛り上がるのか、それははっきりとした政治的な対立軸を持たない日本人には想像しにくいことなのではないかと思います。それでも私たちは、二大政党制というものの醍醐味の一端を味わってしまった。圧倒的な議席数で政権を獲得した民主党が、次に考えなければならないことは、この国にとって真に建設的で国民の心情にぴったり来る政治的対立軸は何かをしっかり見定めて、その線に沿って次回選挙の時までに党を2つに割ることであると信じます。政権発足直後の民主党がこのことをはっきり宣言すれば、そのサプライズ効果も手伝って、国民の鳩山政権に対する信頼は間違いなく高まる。さらにそれは党内が無用な派閥抗争によって分裂することを予防する効果もあるし、自民党の亡霊が不自然なかたちで蘇って来ることを抑止する効果もある筈です。

 私自身は決して二大政党制に与するものではなく、むしろこれからの時代、国民が直接政策を選択出来る「直接民主制」こそが模索されるべき方向だと思っています(記事はこちら)。しかし、そこに至るまでの準備段階としても、私たち国民のひとりひとりが、自分はどういう政治的信念を持っていて、どの政党を支持するかについての自覚を持つことは重要だと思います。これまでのように、なんとなくその時の気分で候補者や政党を選ぶやり方は卒業しなければならない。「これからの時代、経済成長と福祉のどちらを優先させるべきか」、「日米安保条約は今後もずっと今のかたちで継続させるのか」、「そもそも現行の憲法を変えるのか、変えないのか」、おそらく国内を二分することになるこうした問題を、政策の対立軸としてはっきり掲げる二大政党が現れたなら、私たちももう政治に無関心ではいられなくなる。こういう選択肢を国民に与えること、いやむしろ国民に選択を迫ることが政治の本来の役割だった筈です。自民党の一党体制のなかで、そうした選択をする権利さえ国民は奪われて来たのです。もしも半世紀以上続いた自民党政治に決別する意志があるなら、民主党は新しい民主主義を切り拓く責任政党として、自らを分裂させてでも政策選択の自由を有権者に与えるべきです。もともと民主党にしても自民党にしても、異なる政策信条を持つ政治家の寄り合い所帯なのですから、うまく分割すれば議員の皆さんがたも収まるべきところにすっきり収まるのではないか。そしてこれからの4年間は、真の二大政党実現のための移行期間として、明確な政治思想は封印した上で、まずは挙党一致で国の立て直しに専念するのです。

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