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2007年6月24日 (日)

比例区をやめて「専門区」を作ろう!

 参議院選挙の日程が1週間うしろにずれたのだそうです。国政選挙直前の国会会期を延長してまで、法案の駆け込み採決をしようとする安倍首相のやり方には、たまらない嫌悪感を感じます。しかし、天木候補を応援している自分としては、選挙期間が延びることは大歓迎です。この1週間が奇跡を起こすかも知れない、そんなことを大真面目に考えたりします。

 年金問題で政界はてんやわんやの状態ですが、その割に選挙自体は盛り上がっていない印象があります。今回の参院選では、民主党に追い風が吹くのでしょうか。もしも吹いたとしても、それは安倍自民党に対する反対票が、行き場をなくして民主党に吹き溜まっただけのことで、民主党への支持率が上がったのではないことは明らかです。政治にはおおいに関心があるのに、投票したい政党が無いという有権者の不満は、ほとんど爆発寸前にまで来ている。自分も政治に不満を持つ有権者のひとりとして、そんな苛立ちを常に持っています。でも、ものは考えようかも知れません。投票したい政党が見当たらないこんな時代だからこそ、我々有権者はひとりひとりの候補者にもっと注目すべきなのではないでしょうか。たとえ支持する政党がひとつも無かったとしても、信頼するに足る候補者がひとりもいないという訳ではないと思います。

 この観点からすると、いまの参議院選挙の仕組みは、割とよく出来ているように感じます。衆議院選挙の方は、比例代表に党名しか書くことが出来ず、当選者は政党が勝手に決めた名簿順位で決まってしまいます。これは有権者不在のひどい制度です。それに比べると、参院選の比例代表は、候補者個人の名前を書くことが出来、名簿順位も得票数によって決められる。こちらの方がずっと有権者の意思を反映出来るし、結果の納得感もあります。衆院選もぜひこの方式に改めるべきですね。ただひとつ困るのは、何百人もいる候補者全員のプロフィールを、忙しい現代人がすべてチェックすることはとても不可能だということです。最近は自分のホームページやブログを持って、そこで所信表明や活動の報告を書いている議員の方も多くなりました。それだってたくさんあり過ぎて、すべての候補者のページをチェックするなんてことは、よほど暇な人でない限り出来ません。で、充分検討も出来ないまま投票日当日を迎えてしまい、たまたま印象に残っている適当な人に投票してしまう。もしもこれが衆院選だったら、もっと大変なことになりますよね。

 根本的な問題は、現代という時代は政治的な解決を求める問題があまりにたくさんあり過ぎて、とても一個人ではそのすべてに定見を持つことが難しいという点にあります。私は、民主主義が進歩すれば、現在のような国会を中心とした代議制の政治から、国民が直接政策を選択出来る直接民主制に移行すべきだと考えているのですが、その際にも同じ問題があります。毎週行なわれる国民投票に、いくら国民の義務だからといっても、毎回充分検討した上で参加するなんて、物理的に不可能です。で、私は以前の記事で、有権者が自分の意思で投票出来る分野を選択するという方法について書きました(こちらの記事です)。今回の提案は、これを選挙に応用するアイデアです。簡単に言えば、現在の政党ベースの比例代表制を廃止して、政策分野別の「専門代表制」といったものを取り入れてはどうかということです。比例区に代わる、「専門区」の設置と言ってもいいです。

 要するに、これだけ複雑な世の中になってしまったのだから、国会議員にも特定分野に強いスペシャリストになってもらおうという話です。天木さんのブログで、今回の年金問題がこれだけ社会問題化したのは、民主党の長妻昭議員の執拗な追及があったからこそだという話を読みました。これなんかいいお手本だと思います。最近は若い駆け出し議員でも、自分のホームページにマニフェストを掲載して、そこには憲法問題から格差問題、少子化対策まで、全方位で所信表明をしていることがあります。そんなの無理ですよね。まだ実力も人脈も無い若手議員に、そんな大それた公約が守れる訳ないじゃないですか。でも、当選1期目の新人議員でも、あるひとつの分野、あるひとつの問題にこだわって、必死に勉強して誰にも負けない理論を持ち、論陣を張ることなら出来るかも知れない。そうすれば、今回の年金問題のように、そこから何かが変わるかも知れないのです。私はそういう議員を応援したいと思います。特にその人が追及している分野が、自分にも関心のある分野で、しかも自分と近い考え方をしているのならば、私は喜んで自分の一票をこの人に投じます。もしも国会がそういうスペシャリストの集団になったら、日本の政治はどんなにすごいことになるだろう。

 具体的な選挙のやり方はこうなります。まず国政の討議領域を大きく10個程度の専門分野に分けます。これを「専門区」と呼びます。専門区に立候補する人は、その中のどれかひとつの〈区〉を選び、そこに立候補する訳です。有権者の方は、その区名プラス候補者名を投票用紙に書いて投票します(候補者名だけでもいいのですが、有権者の意識を高めるためには区名も書かせた方がいいでしょう)。実際の投票では、1回の投票で3つの専門区、3人の候補者に投票出来るようにするのがいいと思います(但し、1つの専門区には1人だけです)。何故3人もの候補を選べるかと言えば、誰でも関心のある政治分野はひとつだけではないと思いますし、その時々の世論の動向によって、特定の専門区に票が偏るのを防ぐためでもあります。投票が終れば開票です。各専門区にはそれぞれ定数が決められており、ひとつの区に立候補した人の得票上位者から、定数に達するまでを当選とします。当然、区が異なれば当落ラインが違ってくる筈で、ある区では100万票でも落選なのに、別の区では50万票でも当選ということも起こり得ます。が、これは現在の比例区でも起こり得ることですし、この制度が定着するなかで自然に是正されて行くことだとも予想出来ます。いま私が考えている「専門区」とは、例えば以下のようなものです。(最初の漢字2文字が区名。カッコ内はその区に属する政策課題の例です。)

①財務(税制改革・予算編成・財政再建問題など)
②法律(憲法改正・裁判員制度・死刑廃止問題など)※注
③生活(年金・生活保護・格差問題・少子化対策など)
④福祉(医療制度改革・老人福祉・障害者福祉など)
⑤文化(教育問題・文化財保護・宗教・皇室問題など)
⑥外交(国際関係全般・海外支援・移民問題など)
⑦産業(農業政策・産業振興・企業監査・貿易など)
⑧環境(温暖化対策・排出規制・環境保護など)
⑨防衛(自衛隊予算、集団的自衛権、MD構想など)
⑩公共(公共事業、公務員制度、民営化推進など)

 (※注 個別の法律改正は、個々の専門分野に属します。)

 どうでしょう、これでほぼ国政の全領域をカバーしているのではないかな。例えば、護憲を訴えて立候補する天木さんなら、『法律の天木直人』として、年金問題で名を上げた長妻さんなら、『生活の長妻昭』として立候補する訳です(もちろんどこから立候補するかは、ご本人の自由ですが…)。各専門区の定数配分をどうするかは、議論の余地があります。全区一律で10議席ずつというように決めてもいいし、現在の政策的な重要度に応じて、多少比率を変えてもいい。ただ言えることは、この10個の専門区のどれを取っても国政の重要な課題を抱えた分野であり、それぞれにある程度の数のスペシャリスト議員がいてくれなくては困るということです。この選挙の目的は、国民の人気によって公平に議員を選び出すことよりも、むしろ各専門分野に強い実力ある議員を送り込むという点にあるのです。

 例によって素人の考えそうな奇抜なアイデアで、現実的にはいろいろ問題があることは分かっています。でも、基本的にこのやり方のメリットは非常に大きいと私は考えます。まず、このタイプの選挙に勝って議員になった人は、政治に対する心構えが変わって来ると思います。専門区で当選した議員には、これまで以上に大きな責任と使命が与えられることになるからです。なにせ年金問題について有権者に訴え、「生活」区から立候補して当選した以上、その分野で存在感を示さなければ、次回の選挙で同じ支持を得ることはおぼつかない。もちろん力量のある議員なら、自分が立った専門区以外の分野で活躍してもいいし、次回の選挙では別の専門区に鞍替えしても構いません。ただ、それでも今期間中、自分を国会に送り込んでくれた支持者たちを裏切ることは出来ない筈です。「生活」で当選した人には国民の生活が、「外交」で当選した人にはこの国の外交が、その肩に背負わされているのですから。結局のところ、政治の質を高めるには、議員ひとりひとりの質を高める他はなく、そのためには現代社会の様々な問題に対応出来るような高度な専門性を持った議員を国会に送るしかない、そう私は考えるのです。(一方、特定の専門に偏しないゼネラリストの政治家も必要だということにも私は同意します。現在の「選挙区」が彼ら議員の受け皿になってくれるでしょう。スペシャリストは専門区、ゼネラリストは選挙区という棲み分けになる訳です。)

 そしてもうひとつの大きなメリットは、有権者側の政治に対する見方も変わって来るだろうということです。これまでの比例代表では、なんとなく印象の良さそうな人を漫然と選んでいたのが(私の場合です)、これからはきちんと自分の関心のある分野について、どの候補がどういう考えを持っており、またこれまでどういう政治活動をして来たのか、調べてから投票しようという気になると思います(それでもならない人はならないだろうけど)。そしてまた、もしも自分の投票した候補が当選すれば、これからの任期期間中、その人がどういう活躍をするか、注意を持って見守って行くことになると思います。その時の評価が、また次の選挙の投票行動につながる訳です。こうして政治というものが、我々有権者にとってひとつの物語になるのですね。どうでしょう、直接民主制への第一歩として、こういう選挙制度改革案というのは?

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