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2007年3月 4日 (日)

巨悪に立ち向かう民衆の知恵

 世界を震撼させるような驚くべきニュースを読みました。昨年から話題になっている、北朝鮮が作っているとされる精巧な米ドルの偽札、いわゆる〈スーパーノート〉に関してです。話は少々旧聞に属するのかも知れませんが、今年1月6日のドイツの新聞、フランクフルター・アルゲマイネは、この偽札が実は北朝鮮が作ったものではなく、アメリカのCIAが指示してワシントン近郊の秘密工場で作らせたものである可能性が高い、こういう内容のスクープ記事を載せたのです。フランクフルター・アルゲマイネというのは、決して娯楽専門の大衆紙ではなく、ドイツ一の発行部数を誇る権威ある一般紙だそうです。またこの記事を書いたクラウス・W・ベンダー氏は、偽札問題にも詳しい経済専門の記者だということです。現在のところ、正式な日本での翻訳は出ていないようですが、英文なら全文を読むことが出来ますし、またこの記事を取り上げたいくつかのページ(1234)を読み合わせてみると、非常に信憑性の高い記事であるという印象を受けます。何故こんな重大な記事を私は見逃していたのだろう? テレビもほとんど見なければ、新聞も朝刊を15分で拾い読みするだけの自分が、記事を見落としていた可能性は大いにあります。が、この件に関してはどうも事情は違うようです。インターネットで、"フランクフルター""アルゲマイネ""北朝鮮""偽札"というキーワードでグーグル検索をしてみると、現時点で329件のヒットがありました。一部では話題になっていることは確かですが、事の重大さに比べてネット上での情報の広がりが小さ過ぎます。つまり推測されることはこうです、日本の大手マスコミは、この記事を完全に無視し、抹殺したということです。(大衆紙の日刊ゲンダイだけが、これを取り上げたようです。)

 北朝鮮の核実験は、日本を含む西側諸国にたいへんな衝撃を与えた訳ですが、これに対する制裁措置を話し合う6カ国会議では、アメリカは北朝鮮に対して大幅な譲歩を見せました。日本が主張した拉致問題解決を含む厳しい措置は、〈同盟国〉である筈のアメリカにも完全に無視されたかたちです。(これで安倍政権の存在感の薄さがまた印象付けられましたね。) 少し前まで、ブッシュ大統領は、北朝鮮のことを「悪の枢軸」の一角として名指しで非難していた筈です。ところが、ドイツでこの記事が出た直後の1月半ばに、アメリカは米朝二国間会議を行ない、北朝鮮の核施設廃棄と引き換えに100万トンの原油を支援するという、まるで「盗っ人に追い銭」とでも表現するしかないような宥和策で6カ国協議をまとめてしまった。それどころか、偽札問題に絡んで凍結していた、マカオの銀行にある北朝鮮の口座を、今後は一部解除して行く方針さえ出しているのだそうです。現在のところ、アメリカ政府もCIAも、この暴露記事に関する正式なコメントを一切発表していません。これだけ状況証拠が揃えば、誰にだって想像はつきますよね、フランクフルター・アルゲマイネの記事はまさに図星を突いており、北朝鮮がこれをアメリカに対する外交カードとして使ったということです。

 と、まあ、ここで私が紹介した話は、インターネットで読んだ記事をつなぎ合わせただけで、何も新しい情報や深い洞察がある訳でもないのですが、こういった話題が個人のブログやホームページでは取り上げられるのに、日本の大手マスコミが一切これに触れようとしない点が気になります。同じような問題の構図が、例の9.11同時多発テロ事件についてもありましたね。この歴史を変えた大事件が、実はブッシュ政権の自作自演だったという疑惑は、いまも色濃くあります。これもあちこちの個人ページ(1234)で取り上げられているほか、その疑惑を証拠付けようとしたも出ています。状況証拠をつなぎ合わせれば、米政府がなんらかの意味で「クロ」である可能性はかなり高いように感じます。もしもこれが事実だったとしたら、世界の秩序をひっくり返してしまうような話です。だから我々は、いくら「事実は小説より奇なり」と言っても、まさかそこまで事実が奇であるとは信じられないし、正直言って信じたくもない。そこで思考停止です。ふだんはスキャンダル好きのマスコミが騒がないのも、これがあまりに突拍子もない空想に過ぎないからだと考えてしまう。しかし、実のところはどうなのでしょう? 最近は、企業の内部告発などにより、様々な不正や虚偽が明るみに出され、名の知れた名門企業でさえ解体の危機に陥るという事件がよく起こります。同じように、相次ぐ官製談合事件で知事が辞任に追い込まれている地方自治体でも、この流れは目立って来ていますね。私はこれは、これまでの組織の中にたまっていた膿が出され、社会全体が浄化されて行く過程として必要なものだと考えているのですが、最も中心の深いところにある膿、例えばアメリカや日本の政府が隠している巨悪の部分については、まだまだ厳重に封印されているような気がします。大手の新聞社やテレビ局にどのような政治的な圧力がかかっているのか、知らないのは我々庶民だけかも知れないのです。

 歴史を振り返ってみれば、真実はいつかは明らかにされるものだと思います。しかし、自分が生きているあいだには、真実は闇のなかに隠されたままなのかも知れない。自分たちの力で真実を探り当てられない以上、私たちはこうした問題に対して、いかなる確固たる立場もとれないのでしょうか? いや、そんなことはないと思います。むろん私には、9.11事件の真犯人が誰なのかも、スーパーノートがどこの国で作られたのかも分かりません。が、フランクフルター・アルゲマイネの記事を読んだ私は、米CIAが偽札を作った可能性を、(この記事自体が「ガセ」である可能性も含めて)例えば70%くらいの確率ではないかというように値踏みする訳です(数字は喩えです)。9.11の主犯が実はブッシュ政権だったという確率は20%くらい、主犯ではないが、犯行を知っていて黙認した可能性は60%くらい(だから数字は喩えです。笑)。人から新しい意見を聞いたり、インターネットで別の情報を知るたびに、このパーセントは常に変動します。私たちの政治的な立場や意見というものは、株式相場のように、そうやっていつも少しずつ動いている訳です。そして私は信じるのですが、新しい情報に接すれば接するほど、自分の値踏みは真実に近付いて行くに違いないということです。よしんば私個人の考え方は、真実に近いところにはなかったとしても、日本全体として見れば、いや、世界全体として見れば、民衆の知恵はそうやって真実に近付いて行くに違いない。それがつまり民主主義というものの力でしょう? ですから私は、今回のように情報を遮断することによって情報操作をしようとする日本のマスコミのあり方に、深い疑念を覚えるのです。いや、それだって大した問題ではありませんね、日本の新聞社やテレビ局は、安倍政権からの政治的圧力を25%くらいの確率で受けている、そんなふうに自分の中で値踏みしてしまえばいいんですから。

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投稿: toshiki | 2007年3月 4日 (日) 21時28分

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» 「アメリカが拉致問題に及び腰なワケ」 [江戸摩呂日記 ~メディア千本ノック~]
東京新聞(夕刊)2007年2月1日(2面)  北朝鮮による日本人拉致問題は、安倍政権が、「拉致問題の解決なくしては国交正常化はない」と主張し続けてることや、拉致被害者家族連絡会等による様々な取組みが盛んに行われとることからも、日本では関心が高いと思っとる。... [続きを読む]

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