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2007年2月 4日 (日)

日本発、地球温暖化防止の秘策

 エイプリル・フールにはまだ間がありますが、冗談としか思えないようなニュースをインターネットで見付けました。アメリカ政府が、地球温暖化防止のために「宇宙鏡」なるものの建設を提言しているというのです。ヤフーのニュース・ヘッドラインにもなったので、読まれた方も多いと思います。一部を抜粋します。こんな記事です。

 『巨大宇宙鏡で太陽光反射!?
 宇宙空間に浮かべた鏡で太陽光線を反射するという温暖化対策の研究を今春に出される国連の報告書に盛り込むよう、米政府が提案する。英紙ガーディアンが伝えたもので、試算では太陽光線の1%も反射すれば産業革命以来出してきた温室効果ガスの効果を相殺するという。排出削減を柱にした京都議定書とは反対の、いかにも米国らしいプラス思考?』

 壮大と言うか、アホらしいと言うか、よくもこんな荒唐無稽なたわごとを、世界中が真面目に取り組んでいる温暖化対策の報告書に入れようなんて考えるものです。まず私のような文系人間でもすぐに気付くおかしな点があります。それは「太陽光線の1%も反射すれば」というくだりです。地球の直径は約12700キロメートルですから、その横断面の1パーセントの面積をカバーするためには、1270キロメートルの直径を持つ円盤が必要です。つまり、日本の本州がすっぽり隠れるくらいの大きな日傘を宇宙に浮かべなければ、地球に降り注ぐ太陽光線の1パーセントは遮断出来ないのです。1パーセントというから何となく現実的な気がするだけで、考えてみれば全然現実的ではありませんよね。そんなこと、円周率を習った小学生でも分かります。何故そんな子供だましのような提案をアメリカはするのでしょう? もしかしたら、京都議定書への批准を拒んでいるアメリカ政府は、環境問題に真剣に取り組んでいる日本やヨーロッパを、ジョークでからかっているのではないでしょうか?

 とはいえ、実は私はこうした壮大な、一見アホらしいアイデアが嫌いではないんです。アメリカが京都議定書に参加するかしないかは別として、私たちは地球温暖化や環境破壊の問題に関しては、ほとんどもう諦めの境地というか、思考停止の状態に陥っているからです。例えば自分が今日から割り箸を使うのを止めたとしても、あるいはなるべく自動車は使わず、電車を使うように生活を変えたとしても、そんなことで大気中のCO2増加にストップがかけられる訳ではありません。中国はすごい勢いで石油を燃やして、有害物質たっぷりの煙をもくもく吐き出しているし、ブラジルではアマゾンの熱帯雨林が1時間にサッカー場150個分というスピードで消滅している。それを思えば、京都議定書なんて、単なる気休めに過ぎないとも考えられます。もちろん環境技術を高めて温暖化ガスの排出を抑制することや、行き過ぎた自然破壊に歯止めをかけることは重要です。しかし、それだけでは現在の環境悪化のスピードにはとても追い付きません。何かもっと根本的な、起死回生の逆転ホームランのような対策が必要です。

 すでに相当進行してしまった環境の悪化を食い止めるためには、結局、個々の症状に応じた対症療法で行くしかないという気がします。地球の温暖化は、いろいろ複雑に絡まった環境問題のひとつの側面に過ぎません。しかし、とりあえず温暖化が引き起こす結果が重大かつ緊急なものであるならば(海面の上昇、砂漠化の進行、自然災害の頻発など)、その進行を遅らせる直接的な処方を考えるしかないと思います。癌が見付かった患者に必要なのは、規則正しい生活やバランスのとれた食事である以前に、手術や化学療法なのです。そういう意味で、温暖化防止のために太陽光を遮るというのは、まことに理に適った考えであると思うわけです。で、ここからは私の考えなのですが(毎度のお願いです、冗談半分だと思って読んでくださいね)、太陽光線を反射する巨大鏡を宇宙空間に浮かべるのは無理だとしても、それを地上に並べることなら出来るのではないでしょうか。もちろん宇宙の鏡と地上の鏡とでは、太陽の熱エネルギーを遮断する効果において、かなり効率面で差があるのは事実だと思います。太陽光線は、地表に届く前に大気や雲に触れて、すでにその何割かが熱に変換されている筈だからです。でも例えば、世界中のすべての建物の屋根や屋上を鏡のような光沢物で葺いたとしたら、地球の外に熱を逃がす効果が少しはあるのではないでしょうか? 人工衛星から見れば、地球は都市部を中心にキラキラと輝くミラーボールのような惑星になります(ほんまかいな?)。宇宙から見てそれが分かるくらいなら、おそらく太陽エネルギーの一部(1パーセントくらい?)は、地球の外に反射されていることになるのではないでしょうか? だとすれば、地上の温度が下がることも当然期待出来る訳です。ちょうど黒塗りの乗用車よりも、白い乗用車の方が真夏の室内温度が低いように。

 これがもし有効な地球温暖化対策であるとするならば、鏡よりももっと地表に敷きつめるために適した物質が考えられますね。鏡のように太陽光を反射するのではなく、これをすべて吸収してしまい、しかもそのエネルギーを熱として発散させることなく、電気に変換する物質。そう、太陽電池のことです。インターネットで調べると、最近は太陽光線のエネルギーの40パーセントくらいを電気に変換する、効率のよい太陽電池が開発されているのだそうです。これが将来50パーセントまで向上すれば、太陽電池を敷きつめた土地では、要するに地表を温める太陽エネルギーが半分に減ったのと同じ結果になります(よね?)。そしてもちろん、太陽電池は地表の温度を下げることが主目的ではなく、電気を作ることが本来の目的ですから、これは将来のエネルギー問題を解決することにもつながる訳で、一石二鳥の対策ということになります。ふつう太陽光発電は、運転時に二酸化炭素を発生させないという点で、水力発電や風力発電と並ぶクリーンなエネルギーと言われていますが、太陽光の遮断による地球温暖化の直接的な抑制というもうひとつの特性においても、他の発電方式とは一線を画した優れた環境技術に育つ可能性があるのです。

 さらに太陽電池による温暖化制御の可能性を考えてみます。もしも大規模な太陽光発電所を建設するとすれば、海の上に浮かべる選択肢があると思います。それを可動式のモジュールの組み合わせとして建設すれば、世界の海のどこへでも持って行けます。ある地域が自然災害や戦争などにより電力不足に陥っているならば、その近くに発電所を曳航して行きます。電力使用のピークに合わせて、半年ごとに北半球と南半球を往復させてもいいでしょう。ハリケーンや台風の発生時期には、その地域の洋上に集結させて、海水の蒸発を抑制するというアイデアもあります。エルニーニョ現象だって、おおもとから根絶してしまえばもはや脅威ではありません。地球全体の気象を、コンピュータ・シミュレーションに従って精密にコントロールして行くことさえ、夢ではなくなるかも知れないのです。荒唐無稽な思い付きですって? でも、アメリカのスペース・ミラー計画よりはずっと実現性があると思いませんか? ここで利用出来る太陽光発電技術や蓄電技術や造船技術では、日本は世界の最先端を行っています(地球シミュレータだって日本は持ってるし)。私は、日本政府がアメリカに対抗して、「洋上太陽光発電所」構想を国連の報告書に盛り込むよう提案すればいいと思います。おりしも一昨日の夕刊の一面トップは、地球温暖化のスピードが、従来の予測よりもずっと速い速度で進行しているという研究報告を伝えていました。日本が今後、地球環境問題で世界のリーダーシップを取って行けるかどうかは、国家戦略として非常に重要なポイントです。

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