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2005年12月31日 (土)

HAPPY NEWS

 クリスマスが終ったと思ったら、もう大晦日。月並みな言い方ですが、本当に一年が経つのは早いものです。今年の後半は、また暗いニュースがたてつづけに世間をさわがせました。10月以降の事件から拾ってみても、高校一年生の女子生徒による母親毒殺未遂事件に始まり、同じく高一男子による同級生殺害事件、広島で小学一年の女児が殺される事件が発生したと思ったら、栃木でも同じ小学一年の女の子が遺体で発見された、更に塾の講師が教え子の小学六年生女児を殺害するという事件も記憶に新しいところです。とにかく子供が巻き込まれているところが悲惨です。世の中の歯車がどこかで狂ってしまったのではないか、そんな気がする年の暮れです。

 最近出版された作田明さんという方の書かれた『現代殺人論』という本によれば、いかにも現代の日本では凶悪犯罪が増えているようにマスコミが騒ぎ立てているが、統計的に見れば決してそんなことはないのだそうです。日本は過去においても現在においても、世界的に稀にみる治安のよい国で、アメリカはもちろんヨーロッパの各国を見ても、日本よりも殺人率が低い国はほとんどないのだそうです。なのに何故マスコミは、殺人事件をことさら大きく取り上げ、世間の不安を煽ろうとするのか。作田さんの本から引用します。

 『メディアは凶悪犯罪を克明に報道し、いかにもその数が増えて、治安が悪化しているように報道することによって、ニュース番組やワイドショーの視聴率が上がり、新聞や雑誌が売れるわけだから、競うように凶悪殺人事件を報道し、結果的に社会不安をあおることになる。(中略)一方、法務省や警察でも、犯罪が増加して、治安が悪化しているとすれば予算と人員を増やすことができるわけで、こうしたメディアの報道傾向には暗黙の支持を与えている。さらに政治家も圧倒的にマイノリティーである犯罪者を攻撃することによって、一般的な正義感を持つ人たちの支持を得て、少しでも票に結びつけようとする。』

 犯罪学を研究されている人の言葉として、充分信頼出来る意見だと思います。しかし、これが事実だとすれば、私はマスコミの罪は重いのではないかと思います。世の中を暗くしているのは、実は世の中を暗く切り取っているマスコミの仕業で、私たち一般の視聴者はそれに乗せられて、暗いやるせない気持ちで年の瀬を過しているだけではないのか。いや、自分の気持ちなどはどうでもいいのですが、こうした事件の報道が、また新たな事件の呼び水となって、本当に世の中を暗くする方向へ誘っているのではないか。それも実のところは単なる商業主義のために。

 そんなことを考えながら、書店をぶらぶら歩いていたら、一冊の小さな本を見付けました。『HAPPY NEWS』というタイトルの本です。社団法人日本新聞協会というところが中心となって、読者から心あたたまるような新聞記事を推薦してもらうというキャンペーンを行なった、そこで選ばれた小さなハッピーニュースたちを一冊にまとめた本です。読んでいると、思わず吹き出してしまったり、ホロリとさせられてしまったり、なんだ世の中そんなに捨てたものでもないじゃないか、そんな気分にさせてくれる本でした。

 そこで思ったのですが、どこかの新聞社でもいい、テレビ局でもいいのですが、こういう楽しい世の中を明るくするようなニュース専門の紙面やニュース番組というのを作ってみてはどうでしょう。現在の新聞記事やテレビの報道番組は、子供と一緒に見るにはしのびないほど残酷で希望の無いものが多いと感じます。マスコミは事実をありのまま報道するのが使命だと言うでしょうが、私はウソだと思う。例えば、いま日本では年間千数百件の殺人事件が起きていますが、ニュースで大きく取り上げられるのはそのほんの一部です。要するに、視聴者に大きな心理的インパクトを与えると思われる事件が選ばれて報道されているに過ぎない。それを選ぶ基準は視聴率です。今年、インターネット企業の若い経営者によるテレビ局買収未遂事件が二件起こりましたが、もしもテレビ局を買収するなら、インターネットと放送の融合なんてお粗末なアイデアよりも、社会に希望を与えるテレビ局というビジネスモデルを考えてみてはどうでしょう。キーワードは、子供と一緒に見ることの出来るニュース。絶対に視聴率も取れると思います。

 『HAPPY NEWS』には、希望の持てるいい話がたくさん詰まっています。姫路の少年刑務所で、受刑者の少年たちの相談員を47年間も続けている黒田久子さんは、なんと百一歳のおばあさんなんだそうです。「若い人を少しでも支えようとしてきたけど、私の方が生かされてきたんやろね」。捨て子として置き去りにされ、本名も誕生日も知らされず、しかも重い知的障害と身体障害を抱え、四十年間も精神病院で過した夏井三男さんに、献身的な介護で笑顔を取り戻させた青森県森田村「つがるの里」の職員の方たち。イラクの戦火の中で怪我をして、目の手術のために日本に来たモハマド君が、亡くなられたフリーライター橋田信介さんの奥さんの幸子さんと抱き合っている写真を見た時は、思わず目頭が熱くなりました。モハマド君は、イラクに帰って将来は目医者になって患者さんを治してあげたいんだって。ハッピーニュース、ハッピーニュース。来年はどうかそんな幸せなニュースが、世界中をたくさん駆けめぐりますように。

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